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「注文数」と「コンバージョン数」はなぜ合わないのか — ECアナリティクスの数え方入門

管理画面の注文数と、解析ツールのコンバージョン数が一致しない。故障ではなく「数え方の層」が違うからです。EC の数字を読み違えないための、売上・取引数・CVR・客単価の正しい組み合わせ方を説明します。

約4分で読めます
  • 数字の読み方
  • GA4

EC の運営で必ず一度は起きるのが、「カートの管理画面では今月 1,631 件売れているのに、解析ツールのコンバージョンは 1,450 件しかない」という食い違いです。どちらかが壊れているように見えますが、ほとんどの場合、どちらも正しくて、数えているものが違います

この記事では、EC の数字を「層」で捉える考え方と、どの数字とどの数字を組み合わせてよいかを説明します。NextRise Analytics の画面を例にしますが、GA4 や Shopify のレポートでも同じことが起きます。

数字には「訪問の層」と「受注の層」がある

EC の数字は、出どころが2つあります。

誰が数えているか入るもの
訪問の層サイトに貼った計測タグページを見た、カートに入れた、決済に進んだ、購入完了ページを見た
受注の層カート(WooCommerce・Shopify など)の注文データ注文が入った、金額はいくら、何を何個、返金した

「コンバージョン数」は訪問の層——購入完了ページまで届いたセッションの数——です。一方「注文数」は受注の層——お店に入った注文の件数——です。

なぜ差が出るのか

訪問の層は、ブラウザから送られてくる信号を数えています。だから次のケースでは注文があっても信号が届きません。

  • 広告ブロッカーや拡張機能が計測タグの送信を止めた(実測で数%程度。Cookie を使う解析ツールでも同じです)
  • 管理画面から手で入れた注文(電話注文・法人注文など)は、そもそもブラウザを通っていない
  • 決済代行のページで完了して、自分のサイトの完了ページに戻ってこなかった
  • 1つのセッションで2回注文した(注文は2件、購入セッションは1つ)

逆に、受注の層には「どこから来たか」「どのページを見たか」が記録されていません。注文データだけでは、流入元別の売上は作れないのです。

つまり、取引数(受注)のほうがコンバージョン数(訪問)より多いのは正常で、差が数%〜10%程度に収まっていれば計測は健全と考えてよいでしょう。Shopify のレポートでも「チェックアウトを完了したセッション」と「注文数」は一致しないと明記されています。

守るべきルール:分子と分母は同じ層で

数字の読み違いのほとんどは、層をまたいで割り算をしたときに起きます。

指標正しい組み合わせやってはいけない例
CVR購入があったセッション ÷ セッション(訪問 ÷ 訪問注文数 ÷ セッション(受注 ÷ 訪問)→ 高く出る
客単価売上 ÷ 取引数(受注 ÷ 受注売上 ÷ 購入セッション(受注 ÷ 訪問)→ 高く出る
カート → 決済の通過率決済に進んだセッション ÷ カートに入れたセッション(訪問 ÷ 訪問)

NextRise Analytics では、この規則を画面側で固定しています。CVR の分子は「購入があったセッション」、**客単価の分母は「取引数(注文)」**で、それぞれ「?」を押すと数え方が出ます。

「売上」もどちらの層かで変わる

もう1つ落とし穴があります。売上の定義です。

  • GA4 の purchase イベントに「税・送料込みの支払総額」を送っている店は多く、その場合 GA4 の売上は大きめに出ます。
  • Shopify の Analytics、WooCommerce の Analytics、GA4 の推奨実装は、**明細の合計(税・送料抜き)**を「売上」としています。

NextRise は後者に揃えています。注文データがつながっている日は**注文の明細合計(税・送料抜き)**を売上とし、税と送料は「支払合計の内訳」として別に表示します。管理画面の「売上」と比べるときは、同じ定義・同じ期間・同じタイムゾーンで並べてください。

「数字が合わない」を毎回調べ直さないために

食い違いを見つけるたびに1日かけて追いかけるのは、もったいない時間です。おすすめは次の3つです。

  1. 層の違いで説明できる差かをまず疑う(この記事の表)。
  2. 絞り込みを全部外して、概要の売上・取引数と管理画面の同じ期間を比べる。絞り込み中は訪問の層から作られる数字が増えるので、比較に向きません。
  3. それでも大きく違うなら、計測タグが二重に入っていないか購入完了ページにタグが入っているかを確認する。

NextRise Analytics のドキュメントには、数字が合わないときのケース一覧指標の定義をまとめています。GA4 と並べて使う場合の違いも、そこで説明しています。

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