EC運営者がGA4で毎週見るべき数字は5つだけ — 画面の場所と、見たあとに何を決めるか
GA4は画面が多すぎて、ECの売上に効く数字が埋もれます。毎週見るのはセッション・購入率・客単価・カート通過率・商品ページのカート率の5つで足ります。それぞれのGA4での場所、先週と比べるときの切り口、見たあとに決めることをまとめました。
- 数字の読み方
- GA4
前の記事(アクセス解析を入れて満足していませんか)で、EC の解析が意味をなさない理由と、週15分で回す型を書きました。この記事はその各論です。GA4 で毎週見る数字を5つに絞り、それぞれの画面の場所と、見たあとに何を決めるかを書きます。
対象は、GA4 に e コマースのイベント(purchase や add_to_cart)が送られている店です。Shopify・WooCommerce・カラーミーショップなど主要なカートは、標準の連携や公式プラグインで送っています。送られていない場合はこの記事の3〜5番が空になるので、先にカートの GA4 設定を確認してください。
5つの数字の全体像
売上は3つの数字の掛け算で決まります。
売上 = ① セッション × ② 購入率(CVR) × ③ 客単価
そして、②の購入率は「どこで漏れているか」を2段に分けると原因が絞れます。
④ 商品ページ → カートに入れた割合(商品の魅力・価格・在庫) ⑤ カートに入れた → 購入した割合(決済の手間・送料・表示速度)
毎週見るのはこの5つです。GA4 の他の数字(エンゲージメント率、イベント数、平均エンゲージメント時間など)は、この5つのどれかが動いた理由を探すときにだけ見に行けば足ります。
① セッション — 「何人来たか」
GA4 での場所: レポート → 集客 → トラフィック獲得。列の「セッション」を、行の「セッションのデフォルト チャネル グループ」で見る。
先週と比べる切り口: 流入元(チャネル)。合計のセッションが増減したときに、Organic Search・Direct・Email・Paid・Organic Social のどれが動いたかを見ます。合計だけ見ると「なんとなく減った」で終わりますが、チャネルで割ると「メルマガを出さなかった週だから」「広告を止めたから」のように、ほとんどの場合は理由が1つに決まります。
見たあとに決めること: 動いたチャネルに対して「意図した変化か」を答える。意図していない減少(検索流入が2週続けて落ちた等)だけが、来週やることの候補になります。
⚠ 1つ注意があります。UTM の utm_medium に sns や x のような独自の値を付けていると、GA4 はそれを「Unassigned」に落とします。Unassigned が数%を超えていたら、原因は解析ではなく配信リンクのタグ付けです。
② 購入率(CVR) — 「来た人の何%が買ったか」
GA4 での場所: 同じ「トラフィック獲得」の列に セッションのキーイベント率(旧称「セッションのコンバージョン率」)があります。purchase をキーイベントに設定していれば、それが購入率です。複数のキーイベントを設定している場合は、列の右上で purchase を選んでください。
先週と比べる切り口: デバイス。レポート → ユーザー → テクノロジー → ユーザーの環境の詳細で、行を「デバイス カテゴリ」にして同じ列を見ます。
理由は単純で、EC の CVR の問題は、半分くらいが「モバイルだけが極端に低い」という形をしているからです。合計の CVR が 2.5% だとしても、PC が 5% でモバイルが 1.5% ということはよくあります。合計だけを見ていると、この差は永遠に見えません。
見たあとに決めること: モバイルと PC の CVR に2倍以上の差があれば、来週の候補は「モバイルの表示速度」か「モバイルの決済の入力量」の2つに絞られます。差が小さければ、CVR ではなく④⑤を見に行きます。
③ 客単価 — 「1回の注文でいくら買われたか」
GA4 での場所: GA4 には「客単価」という指標がありません。「購入による収益」÷「トランザクション数」で自分で割ります。両方とも、レポート → 収益化 → e コマース購入数の上部のカードや、データ探索(探索)でセッション単位に出せます。あるいは探索で「平均購入収益」を使うと、ユーザーあたりの値が出ます(注文あたりとは少し違います)。
先週と比べる切り口: 新規とリピート。探索で「新規ユーザー/リピーター」(newVsReturning)をディメンションにして、収益とトランザクション数を並べます。
見たあとに決めること: 客単価が下がったとき、新規の比率が上がっているなら、それは集客が効いていて新しい人が「お試し買い」をしている状態なので、悪いニュースではありません。決めることは「客単価を上げる」ではなく「新規の2回目購入をどう作るか」になります。逆に、リピーターの客単価が下がっているなら、セット販売や送料無料ラインを見直す候補です。
⚠ 「売上」の定義に注意してください。GA4 の purchase に税・送料込みの支払総額を送っている店では、GA4 の収益はカートの管理画面の「売上」より大きく出ます。管理画面と比べるときは、同じ定義に揃えてからにしてください(この記事で詳しく書いています)。
④ 商品ページ → カートに入れた割合 — 「商品は魅力的に見えているか」
GA4 での場所: レポート → 収益化 → e コマース購入数。行が商品(アイテム名)で、列に「表示されたアイテム数」「カートに追加されたアイテム数」「購入されたアイテム数」が並びます。「カートに追加 ÷ 表示」を商品ごとに見ます。
先週と比べる切り口: 商品。全商品の平均と比べて、この割合が極端に低い商品と高い商品を1つずつ探します。
見たあとに決めること: 閲覧は多いのにカートに入らない商品は、「価格」「写真・説明」「在庫切れ表示」のどれかを疑います。逆に、カートに入る割合が高いのに閲覧が少ない商品は、露出を増やすだけで売上が増える候補です。トップページの掲載順や、メルマガで取り上げる商品を、この数字で決められます。
⑤ カートに入れた → 購入した割合 — 「決済で逃げられていないか」
GA4 での場所: レポート → 収益化 → 購入経路。セッション開始 → 商品の表示 → カートに追加 → 決済の開始 → 購入、の段ごとにセッション数と離脱率が出ます。「購入 ÷ カートに追加」を毎週書き留めます。
先週と比べる切り口: デバイス(②と同じ)。購入経路レポートは上部でデバイス カテゴリで分けられます。
見たあとに決めること: この割合が下がったとき、原因はほぼ「決済の途中で何かが増えた」です。送料の表示、会員登録の必須化、決済手段の変更、配送日指定の追加。前週に自分のサイトで変えたことと突き合わせると、たいてい1つに絞れます。
5つを1枚にまとめる
毎週、次の表を埋めるだけです。GA4 の画面を保存しておくより、スプレッドシートに数字を書き写すほうが、先週との比較が確実にできます。
| 今週 | 先週 | 動いた切り口 | 来週やること(1つだけ) | |
|---|---|---|---|---|
| ① セッション | チャネル: | |||
| ② 購入率 | デバイス: | |||
| ③ 客単価 | 新規/リピート: | |||
| ④ 商品→カート | 商品: | |||
| ⑤ カート→購入 | デバイス: |
「来週やること」は1つだけにしてください。2つ以上あると、4週間後にどちらが効いたのかが分からなくなります。
正直なところ
この表を埋めるのに、GA4 では毎週5つのレポートを渡り歩き、③は手で割り算し、切り口ごとに探索を組む必要があります。慣れれば20分ですが、忙しい週に飛ばした瞬間、「先週」の数字が無くなって比較が途切れます。
NextRise Analytics は、この5つの数字と切り口を最初から1画面に並べています。セッション・CVR・客単価・取引数が前期間比つきで上に並び、集客・ページ・売上・曜日×時間帯のタブで切り口ごとの内訳が出ます。そして表の右端の「来週やること」に当たるものを、毎朝カードとして自動で出します。「モバイルのお客様が買う割合が低いです(モバイル 4.4% / PC 14.0%)」のように、どの切り口で、どれだけズレているかが書いてあるので、この記事の表を自分で埋める必要がなくなります。
GA4 を止める必要はありません。タグを1行足すと今日から計測が始まり、設置前の期間は GA4 から1回だけ取り込めます。まずはサンプル店の画面で、この記事の5つの数字がどこに出ているかを探してみてください。
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