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Cookie を使わないアクセス解析は、何が違うのか — 同意バナー・ITP・広告ブロッカーとの関係

「cookieless」の解析ツールが増えていますが、Cookie を使わないと何が変わり、何が変わらないのか。同意バナーの要否、Safari の ITP、広告ブロッカー、そして「ユーザー数」の数え方の違いまで、EC 運営者向けに整理しました。

約5分で読めます
  • プライバシー
  • 計測

アクセス解析ツールの説明に「Cookie 不要」「同意バナー不要」と書いてあるのを見て、「本当に? 何が違うの?」と思った方向けの記事です。NextRise Analytics も cookieless の計測を採用していますが、ここでは製品の宣伝ではなく、仕組みとして何が変わるのかを説明します。

「同じ人がまた来た」を知るためです。従来の解析タグは、初回訪問時にブラウザへ 識別子(クライアント ID) を Cookie として書き込み、次の訪問でそれを読み取って「この人は2回目」「先週も来ていた」と判定します。ユーザー数・新規/リピート・リピート率は、この識別子の上に成り立っています。

便利な半面、識別子を端末に保存することそのものが、EU の ePrivacy 指令をはじめ多くの国・地域で同意の対象になりました。「端末に情報を書き込む/読み出す」行為が規制の入口になっているためです。日本では 2023 年施行の改正電気通信事業法(外部送信規律)が、Cookie の有無にかかわらず「利用者の情報を外部に送信する仕組み」について何を送っているかの公表・通知を求めています。同意バナーとは別の義務なので、cookieless の解析でも、プライバシーポリシー等で計測の内容を明示しておくのが確実です。

端末に何も書かずに済ませる代表的な方法が、日替わりのハッシュです。NextRise Analytics の場合、訪問者の識別子は次の材料をまとめてハッシュ化した値です。

ハッシュ(その日限りのソルト + サイト ID + IP アドレス + ユーザーエージェント)
  • ソルトは毎日変わるので、翌日には同じ人でも別の ID になります。日をまたいだ追跡はできません。
  • サイト ID が混ざっているので、別のサイトでの訪問とは結び付きません。
  • IP とユーザーエージェントは保存しません。 ハッシュを作ったあとに捨てます。

端末には何も書き込まず、保存されるのは元に戻せないハッシュだけ——これが「同意バナーを出さずに設置できる」と言える根拠です。

変わること・変わらないこと

Cookie を使う解析日替わりハッシュの解析
同意バナー多くの地域で必要一般に不要(後述の注意あり)
セッション数・ページビュー同じ同じ
1日の中のユーザー数・新規/リピート取れる取れる
日をまたぐユーザー数・リピート率取れる取れない(同じ人が別の日は別人として数えられる)
Safari の ITP による影響1〜7日で Cookie が消され、リピートが新規に化けるもともと日をまたいで追跡しないので影響なし
広告ブロッカー一部の送信が止まる同じく一部の送信が止まる(Cookie の有無は関係ない)
売上・CVR・流入元・ページ別の分析同じ同じ

要点は2つです。

  1. EC の売上分析に要る数字は、ほとんど変わらない。 どのページが・どの流入から・どれだけ売れたかは、セッション単位で分かれば十分だからです。
  2. 「複数日にまたがるユーザー数」だけは、定義が変わる。 月間ユーザー数は cookieless のほうが多く出ます。比較するときは、ユーザー数ではなくセッション数で揃えるのが確実です。

よくある誤解

「Cookie を使わなければ広告ブロッカーの影響もない」 — これは誤りです。ブロッカーは Cookie ではなく「解析ドメインへの送信」を止めるので、cookieless でも一定の欠損は出ます(実測で数%程度)。件数の正が要る売上・取引数は、注文データから作るのが確実です。

「同意バナーが絶対に不要になる」 — 解析タグ単体では不要でも、サイトに入っている他のタグ(広告のリマーケティング、チャットツール、A/B テストなど)が Cookie を書いていれば、バナーは必要です。判断はサイト全体で行ってください。また上で触れたとおり、バナーが不要でも「何を送信しているか」の公表は別に求められることがあります。

「cookieless なら個人情報は一切扱わない」 — IP アドレスはハッシュの材料として一瞬扱います(保存はしません)。「扱わない」ではなく「保存しない・戻せない」が正確な表現です。

「何を集めて、何を集めないか」は公開されているかで選ぶ

cookieless を名乗るツールは増えましたが、実装はまちまちです。選ぶときは、次の3点が実装に即して公開されているかを確認するのがおすすめです。

  • 識別子の作り方(何を材料に、どのくらいの周期で変わるか)
  • IP アドレス・ユーザーエージェントを保存するかどうか
  • URL のクエリ文字列を全部送るのか、UTM だけなのか(メールアドレスや注文者名が URL に載る店は少なくありません)

NextRise Analytics は、この3点をプライバシーへの取り組みと計測データとプライバシーで、実装のとおりに書いています。判断の材料にしてください。

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